雇用側の問題

 洋菓子業界も、昨今話題となる【人手不足問題】も増えております。どこの職場も即戦力が欲しいという事も少なくありません。新卒の雇い入れをしておりますが、お店側の頭の中は【専門学校の子達はすぐ辞める】という印象になっています。これは洋菓子ブームがあり、一気に学生が増え、それと合わせて続かない子が増えてきた結果であり、事実です。
 

~お店の在り方も大切~

お店側も指導の時間がなかなか取れない。学校に行ったにも関わらず技術がない。【すぐ辞めてしまう】という価値観で接してしまうが為に、指導もおろそかになったりするケースもあったりします。

これからの職人の修行のカタチとは

 職人といえば『見て盗む』というのが、昔の考えでしょうか?現在はインターネットの普及もあり、作り方や動画は検索すれば出てきます。お店によっては、1年間は洗い物や販売のみ!ケーキ作りはまず軽量から!などという形で、なかなか触らせない事も多々あります。やらしたら失敗する、時間がかかる、雑務が新米の仕事。様々な考え方がありますが、私自身はそうは思いませんでした。

 独立開業してからは、1年以内にはある程度任せられる人材を育てるを目標にやってきました。最近、スポーツの世界などでも、若くして成功してる人いますよね?3歳で始めようが、20歳で始めようようが一年経てば、同じ一年であり、早くやったもの勝ちだと思うのです。
 私が28歳という早い時期に開業した理由も、その1つです。パティシエとしての修行は続いていくだろう。しかし起業とは、経営者になるわけであり、経営者の経験はならないと積めない。なら早く始めて、たくさんの体験をして、全てを糧にしていこうと考えたのです。この考え方は、店のスタッフへの指導にもつながり、たくさんの卒業生が各地で活躍しております。

『楽しいと好きしか』これからは続かないし、残らない

 どうしても職人の世界の為、給料が少なかったり、労働時間が長かったりするのは否めません。そういった環境で長く働き続けていたせいで、なかなか自分の可能性を信じられなくなり夢を無くしたパティシエ達も増えているのが事実です。どうしても狭い世界であるので、考えが偏ったりします。

 私はケーキを作ることしか出来ないから、辞めたら次を探すのは大変。人がいないから辞められなくて、楽しくはないけど我慢しているetc・・・。

 そして、お店側も、朝早く、遅くまで働く事が当たり前で、それを乗り越えた者が続く人で、頑張っている人と見なしたり、職人だから当たり前だという考え方も、まだ残ってるところもあり、環境が良くない事もあります。 言い換えれば『俺も我慢してきた!長時間、低給料は当たり前、職人なら当然。君たちも我慢しなさい』を押し付けているように、私は思います。お金のために働かない、好きを仕事にと言うのは良いことですが、体や心を酷使する必要性は感じません。

 本当に好きで好きでたまらなく、楽しんでケーキ作りをしている人達が、この業界で働いている人の中に少ないのも、若い子たちの夢が無くなっていく原因の一つです。生き方が問われる、この時代。楽しい事しか、もう続かなくなっているのです。商売も然りで、自分の楽しい、好きが広がっていくものだと考えます。【以心伝心】想いは必ず伝わります。商品にも伝わり、お客さまにも働く仲間にも伝わります。

 そういった環境で働かないためにも、たくさんの体験から、技術や知識をつけることで、自信を持って自分の人生を選択できる人が増えることが大切だと思います。

~お菓子作りの楽しさを伝えることが使命です~